
第1回プロダクト部会パートナー訪問ツアーを令和7年8月10日に開催しました。
今回のツアーは、プロダクト部会リーダーである小山氏により、京都市右京区京北エリアのパートナーの現場、工房、職人の繊細な手仕事を間近に見て交流することで、参加者に作品や企画のアイデアが生まれることを目指して企画されました。

(プロダクト部会リーダー 小山氏)
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京北銘木生産協同組合
京北銘木生産協同組合では、北山丸太を中心に、組合員が製造した製品を扱っており、年4回競り市を開催しています。

(京北銘木生産協同組合 事務局担当理事 一瀬氏)
同組合では、北山杉をはじめとして、茶室材から一般建築用材まで幅広い木材を扱っており、北山杉は直径12〜15cmの木が成木とされ、床柱や磨き丸太として使用されるものは長さ3〜4mの規格が一般的です。
北山杉の栽培方法には一本仕立てと垂木仕立て(台杉仕立て)の2種類があり、とくに台杉仕立ては小径木を育てるための特殊な方法で、垂木は約20年で伐採されています。

(注文に即対応できるよう、異なる寸法(直径)の材を多数在庫している。)
さらに、自然に凹凸模様が生じた希少な「天然出絞丸太」や、それを人工的に再現した「人造絞丸太」も取り扱っています。人造絞り丸太は、山で育つ木に箸状の材を針金で巻き付け、数年成長させることで模様をつけるもので、1本の丸太に400〜800本もの材を手作業で差し込む非常に手間のかかる工程が特徴です。

(人造絞り丸太の製造方法を説明する一瀬氏。箸状の材を、針金で数年間巻き付け木が太る力を利用して丸太に独特のシワ模様を押しつける。)
北山丸太の他には、赤松、椿、香節・令法(良母)、栗など多様な樹種を揃えています。赤松やクヌギ、ツツジなどは宮内庁から指定を受けて納品することもあり、求められる寸法の材を各地域から確保しているとのこと。
案内頂いた倉庫には、テーブル材に適した大判板もあり、最大で横幅1.6m、厚み19cmという迫力あるものまで揃っており、ツアー参加者を驚かせました。また、天然出絞丸太をスライスして圧縮し、カウンター材やテーブル材へ加工するなど、木材の新たな価値づくりにも取り組んでいます。
他にも、サビ丸太と呼ばれる、皮を剥いて菌類を繁殖させることで模様をつけた木材も扱われています。サビ丸太は、山で意図的にカビを生やすことで味わい深い表情を得られるもので、寿司屋や蕎麦屋など落ち着いた雰囲気を演出する場で人気があります。
また、あえて曲がった木材をデザインに取り入れるなど、多様な価値観に応じた木材の活用が進められている点も印象的でした。杉は同じ品種でも生育地域によって品質が異なります。京都では4〜5年に一度の枝打ちが通常ですが、肥沃な土地では成長が早いため2年で再び枝打ちが必要になる場合もあります。山では間伐を行わず、枝打ちにより枝を残す量によって木の大きさや成長を調整しています。大きい木は枝の残す量を少なめに、小さい木は枝を多く残すことで成長を加減し、最終的に揃った材を生産する技術が確立されていることについても学びました。
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knot Factory
knot Factory(ノット・ファクトリー)は、京都市右京区京北に工房を構える家具製作工房で、社名の「knot(ノット)」には、木材にできる「節(ふし)」だけでなく、「結び目」や「繋がり」といった意味も込められており、木材と人、そして空間を結びつける存在でありたいという想いが反映されています。

(knot Factory 代表取締役 栗山氏)
家具製作において耐久性と構造の強さが求められる製品に適している広葉樹は不可欠ですが、京北地域では針葉樹の山が多く、京都市内産の広葉樹の入手が難しい場合もあるとのこと。
針葉樹は構造が単純で加工しやすい反面、横方向の強度が弱く強く締め付けると潰れてしまうという特性があり、それぞれの木材の特徴を理解しながら使い分け、必要に応じて針葉樹であるヒノキなども使用するとのこと。
同工房が製作できる製品は幅広く、キッチン、店舗什器、棚、チェスト、寝具などあらゆるジャンルの家具に対応しています。小物の製作も可能ですが、少量生産ではどうしてもコストが高くなる点が課題です。
工房では多様な加工方法を取り入れており、たとえば1本の木をカットした後に再度接着し曲げるラミネート加工や、合板製造時に使用するプレス機など、機械と手作業を組み合わせた製造が行われ、工房の機械設備は鋳物製で非常に頑丈な年代物が多く、40〜50年経った現在も現役で活躍している点が印象的でした。
曲線を生み出す際には「曲げ」と「削り出し」の二つの技法があります。強度に大きな違いはないものの、曲げ加工は手間がかかり、削り出し加工は厚みのある材料が必要となるため、用途に応じた使い分けが行われています。
椅子の座り心地は、座面や脚の高さ、角度といった細部の設計で大きく変化します。デザイン性を追求しシャープな造形にすると、耐久性が損なわれる場合があるため、設計者の判断が重要です。
また、製品の保証やアフターフォローを含めた対応を行いながら、使い手に長く安心して使ってもらえる家具づくりへの取組が伺えました。

(数ミリの違いでデザインだけでなく強度も変わるため、何を優先するべきかを細かく説明する栗山氏)
依頼元は設計士、工務店、建設会社、一般顧客、デザイナーなど多岐にわたります。一点もののオーダーにも対応しており、細やかなニーズに応える姿勢が工房の特徴です。ただし、フルオーダーの場合は手間がかかるため、相応にコストが上がります。

(参加者からも積極的に質問する姿が見られました。)
knot Factory における家具づくりの現場では、一つひとつの工程に対するこだわりと、長く使われる製品を届けたいという作り手の思いが強く感じられました。木材と向き合う姿勢、技術の蓄積、そして持続的なものづくりのあり方について深く学ぶ機会となりました。
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後編へ続く