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トピックス プロジェクト

第2回プロダクト部会パートナー訪問ツアーの実施(後編)

2026年2月6日

有限会社京北商会

京北商会は昭和25年に設立され、70年以上にわたり木材の製材・加工を手掛けてきた歴史ある製材所で、京都市内の街中にある希少な製材所の1つです。主な事業内容は、天井の下地材といった角材の製造を中心に、木材の製材・加工を行い、取り扱う木材は、京都府内産・市内産の杉や海外の赤松など用途に応じた多様な材種です。

製品となる木は、京都市右京区京北地区にある北桑木材センター(原木市場)に集められ、山口社長により厳選、競り落とされた後、京北商会へ運び込まれます。そこから製材・加工され、製品市場やプレカット工場、問屋、材木店を経て工務店、そして最終的にはエンドユーザーのもとへと届けられます。

一方、赤松については、現在丸太輸入が禁止されているため、現地で板状に加工された原板を日本へ輸入するという形で調達しています。国際情勢の影響を受けながらも、安定した供給を維持するための工夫がなされています。

一般的な製材所は、1000坪ほどの広さが必要とされていますが、約300坪という限られた敷地で行われる京北商会の製材工程は、生産ラインを工夫し、大量生産を可能するための効率化と省人化を強く意識した構成となっています。まず、原木市場から搬入された丸太は、順次製材工程に回され、「台車」と呼ばれる大型の帯鋸製材機を用い、丸太を原板の形に製材されます。

(台車を真近に説明を受ける参加者)

製材された木材は2階へと運ばれ、機械によって厚みが測定され、厚さごとに振り分けられます。さらにカットされた後は長さ別に分けられ、自動で積み上げられる仕組みになっており、少人数でも効率よく作業できる体制が整えられています。

次に行われるのが「耳すり」と言われる作業。丸太を製材すると、どうしても丸みを帯びた部分(耳)が残り、このままでは乾燥時に無駄なスペースとコストが生じるため、裁断して四角に整えた後、原板は一旦屋外や屋根下に積まれ約1か月(急ぎの場合は2~3週間)天然乾燥され、さらに乾燥機に5日間ほど入れられます。含水率が20%以下になると次工程へ進み、基準に満たない材は、再度乾燥が行われます。

乾燥後は「ギャング」と呼ばれる裁断機で所定の寸法に切断され、角材などの工業用品は結束機で束ねられ、製品として出荷されます。こうした一連の流れが効率よく組み立てられており、都市部に立地する製材所としては非常に合理的な生産体制が印象的でした。

また、副産物の有効活用にも取り組まれており、丸太の耳部分や裁断後の端材はチッパーで細かく砕かれ、チップとしてパルプ会社に出荷され、ダンボール等の原料となります。製材時に出る引き粉(木の粉)は、家畜の寝床材として利用されるほか、以前は友禅染の洗いにも使われていたそうで、木材を無駄なく使い切る循環型のものづくりが実践されていることに参加者も深く感心していた様子でした。

さらに、海外の松と日本の松の違いについても興味深い話を伺うことができました。海外の松は広大で平坦な土地に育つため真っ直ぐに成長します。また、寒冷で栄養分の少ない環境のため成長が遅く、年輪が詰まった強度の高い材になります。一方日本の松は、山の斜面で育つため、光を求めて曲がりながら成長します。その曲がりは「ゴロンボ」と呼ばれ、用途に応じて活用されています。海外と日本それぞれの育成環境が木材の性質に大きく影響していることが分かりました。

京北商会の課題として挙げられたのが、電気代と近隣への騒音対策です。通常、木材乾燥機は灯油を燃料としたボイラーを使用しますが、京北商会は、街中にある製材所であるため乾燥機に煙が出るボイラーを使用すると近隣からの苦情につながる可能性があるため、電気式の乾燥機を採用しています。その結果、電気代の大きな負担に加え、乾燥中は大型ファンが回るため、騒音についても、準工業地帯の基準内に収めるよう対策を徹底しています。その他にも、音が出にくい刃をギャングソーに採用したり、夜間は乾燥機のパワーを落として24時間稼働させるなど、周辺環境への配慮が随所に見られました。

その一方で、郊外の製材所と比べて材料の引き取りや製品の納品を迅速に行うことができ、機動力の高さが取引先にとって大きなメリットとなることが、街中に立地していることの大きな強みでもあるようです。

限られた敷地の中で工夫を重ね、効率的な生産体制を築きながら、環境や地域への配慮も怠らない京北商会。長年培われてきた技術と現場の創意工夫が随所に感じられる、非常に学びの多いパートナー訪問となりました。

京都木材会館

最後に、京都木材会館にて、同館の概要と「京の木製品認証制度」について、京都木材協同組合事務局長の武石氏及び山口氏(京北商会)よりお話を伺いました。

まず訪問した京都木材会館は、京都木材協同組合が入居する建物で、令和8年3月には築10年を迎えます。同館は「木造耐火建築モデル」を目指して建設され、京都産の木材を使用し、京都の工務店の手によって建てられた純木造建築です。京都の林業・木材産業の象徴ともいえる建物であり、木の可能性を都市空間の中で実証する存在となっています。

(木材会館の説明を受ける参加者)

建物の大きな特徴の一つが、柱に耐火部材を使用し、「木現し」で仕上げている点です。耐火性能を確保しながら、木の質感や美しさをそのまま見せる設計となっており、木造建築の新しい在り方を体現しています。内装には北山丸太も使われており、外装には木製ルーバーがふんだんに配置され、建物全体から木の存在感が強く感じられます。

2階にある会議室にも木材が多用されており、落ち着きと温もりのある空間が広がっています。また、3階・4階にあるマンション部分も、木の良さをいかしたシンプルな造りとなっており、日常生活の中で木に触れられる設計がなされています。

3年程前からは、1階にギャラリーが設置され、京都産の木材を使った製品が展示されています。さらに今年度、ギャラリーを改装。「京の木製品認証制度」の認証を受けた製品や、制度を紹介するパネルなどが並び、京都の木の魅力や、ものづくりの背景を伝える情報発信の場となっています。

「京の木製品認証制度」については、山口氏より説明を受けました。

この制度は京の木製品認証協議会が運営しており、京都市もその活動に協力し、行政と民間が連携して進めている取り組みです。

京都産の木材は、建築物等の「材料」として使用されることが多く、原木や製材の状態ではなかなかその良さが伝わりません。そこで、木製品という完成品の形にすることで京都の木の価値を分かりやすく伝え、ブランド化を進める目的で、この認証制度が生まれました。木材の活用を促進し、京都の木を広く普及させることが大きな目標です。

認証基準は、あえて厳密な規定を設けず、「多くの人が良いと感じる京都らしいもの」を認証していく方針がとられています。

対象となるのは、「木製品」または「素材(エレメント)」であり、京都産の木材が過半を占めているもの。作り手が「デザイン性」「機能性」「環境性・ストーリー性」のうち、どの部門で登録したいかを示し、それに基づいて認証される仕組みとなっています。作り手の想いや強みを尊重した制度である点が特徴的です。

(このロゴマークは「京の木製品認証制度」にて認証された木製品に付与されます。)

京都木材会館という“場”と、京の木製品認証制度という“仕組み”。この二つは、京都の木を都市と生活の中に根付かせるための重要な役割を担っており、木を建築として見せ、製品として伝え、京都ならではの木の文化を未来につなぐ取り組みであると改めて実感しました。