
8月1日(土)、京都北山杉の里総合センターにて、京都生活協同組合主催の体験イベント『北山杉の里 探検&丸太磨き体験 Day』が開催されました。
本イベントは、北山杉の里を舞台に、森林や生物多様性、そして北山林業の歴史や文化を体験的に学ぶことができるプログラムを、木と暮らすデザインKYOTOのパートナーが実施協力いたしました。
本プログラムは、きょうと生物多様性センター、京都森林インストラクター会、京都北山丸太生産協同組合の皆様のご協力のもと、座学・フィールドワーク・林業体験の3部構成で実施。森林は、木を育てる場所というだけではなく、水を育み、生きものを支え、人の暮らしや文化、産業とも深く結びついており、普段の生活では意識する機会の少ない自然の循環や、人と森林との関係を、実際に山を歩き、木に触れ、職人の仕事を体験することで学んでいただく内容となりました。
当日は朝から雲一つない快晴に恵まれ、子どもから大人まで12家族37名の皆様にご参加いただき、北山の自然に親しみながら、学びと発見にあふれた充実した一日となりました。
森・川・海、そして人の暮らしをつなぐ生物多様性の学び
最初のプログラムでは、きょうと生物多様性センターの松村さんによる講義が行われました。

(きょうと生物多様性センターの松村さん )
スライドを使いながら、山に暮らす動物や植物、川に生息する魚や昆虫、そして私たち人間まで、すべての生きものが互いにつながりながら暮らしていることを、子どもたちにもわかりやすい言葉で説明していただきました。
山の環境が川を育て、その川が海の環境にも影響を与えることなど、一見離れているように見える自然環境が一つの大きな循環の中にあることを学びました。
また、森林が水を蓄え、土砂災害を防ぎ、多くの生きものの住みかとなっていることや、人間もその恩恵を受けて生活していることについても紹介されました。
参加した子どもたちは真剣な表情で話を聞き、「生物や自然について学べてよかった」といった声も聞かれました。
北山の森を歩き、五感で自然を感じるフィールドワーク
座学の後は、京都森林インストラクター会から講師を迎え、北山の山林散策へ出発しました。
北山杉の人工林というと、杉だけが整然と並ぶ風景を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし実際に山へ入ると、作業道の脇や沢沿いには、さまざまな樹木や草花、シダ類やコケ類などが生育しており、多様な植物や昆虫が共存していることがわかります。
講師の皆さんからは、それぞれの植物の名前や特徴、昔の人々の暮らしとの関わりについて丁寧に解説していただきました。

(京都森林インストラクター会による散策)




(身近な植物から、珍しい植物まで名前や特徴など細かく教えていただきました。)
葉の形を観察し、樹皮を触り、香りを嗅ぎ、木の実を手に取るなど、五感を使って自然に親しむ体験は、図鑑や教室では得られない学びとなりました。
散策の途中では、沢沿いに生える広葉樹や、湿った環境を好む植物なども観察し、「杉林の中にもこんなにたくさんの植物があるんだ」という発見がありました。
特に盛り上がったのは、山椒の葉の香りを確かめる場面です。
「知っている匂いだけど何だろう?」
という子どもの声に対し、講師が「実を粉にして、うなぎにかけるんだよ」と説明すると、子どもたちは「あっ、山椒だ!」と納得した様子で、保護者の方々も身近な食べ物と山の植物がつながっていることに興味深そうに耳を傾けていました。
また、植物だけでなく、昆虫や鳥の鳴き声にも耳を傾けながら歩くことで、普段は気づかない自然の豊かさを実感する時間となりました。 約60分間のフィールドワークは、暑さを感じさせないほど参加者同士の会話も弾み、終始和やかな雰囲気の中で行われました。
北山林業の歴史と技術を学ぶ体験
散策の後は、京都北山丸太生産協同組合による北山杉の講義を実施しました。 まずは北山丸太の競り市も行われる製品倉庫を見学し、床柱や茶室建築などに用いられる北山丸太について説明を受け、北山丸太には、磨丸太、天然出絞丸太などさまざまな種類があり、それぞれ育て方や仕上げ方、用途が異なることを学びました。

(北山丸太の特徴を教えていただきました)
参加者の皆様は、一本一本異なる表情を持つ丸太を見比べながら、職人の技術によって美しい木材が生み出されていることに驚かれていました。
その後、実際の丸太を使った皮むき体験と砂磨き体験に挑戦しました。

(丸太の皮むき体験)
丸太を均一に砂で磨くためには力加減や手の動かし方にもコツがあり、参加者の皆様は職人の指導を受けながら真剣に作業に取り組んでいました。水で濡らした丸太を、砂で丁寧に磨いていく作業は、一見単純に見えて非常に根気のいる仕事です。

(丸太の砂磨き体験)
冷たい水を使って磨く作業は、この日の暑さの中では、とても気持ちよく感じられましたが、「この作業は本来、真冬に行う仕事です」と説明があると、参加者からは一斉に驚きの声が上がりました。
北山林業を支える人々の技術や努力を身近に感じる貴重な機会となりました。
森林と人の暮らしをつなぐ体験を未来へ
約3時間にわたるプログラムでしたが、自然環境、生物多様性、森林、そして地域の伝統産業まで幅広く学べる内容となり、参加した子どもたちにとっては夏休みの自由研究にもつながる充実した一日となりました。
保護者の皆様からも、
「子どもだけでなく大人も勉強になった」
「普段何気なく使っている木材が、こんな手間をかけて作られていることを初めて知った」
「森を見る目が変わった」
といった感想をいただきました。
今回のイベントを通して、北山杉の里が単なる林業地域ではなく、豊かな自然環境と人々の暮らし、伝統文化が共存する場所であることを、多くの参加者に感じていただけたのではないかと思います。
木と暮らすデザインKYOTOでは、企業や教育機関向けに、パートナーと連携した多彩な木育プログラムを提供し、森林散策や木工体験、林業体験、環境学習、地域文化を学ぶプログラムなど、ご要望に応じた企画・運営が可能です。
森と人とのつながりを学び、木の魅力を体感できる機会づくりを、今後もさまざまな形で展開してまいります。 ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。