”木の地産地消”と”家具の使い捨てを無くす”ことで、サステナブルな暮らしをつくる「もくわく」。使いやすさや環境問題への配慮だけでなく、楽しい暮らしへの思いが詰まった当シリーズは、先日、「ソーシャルプロダクツ・アワード2023」においてソーシャルプロダクツ賞を受賞しました。今回は「もくわく」のプロデュースを行っている「sumao すまいの雑貨店」さんに、お話を伺います。(前回の記事も合わせてご覧ください。)
■地産地消と木材
国産木材で作られた「もくわく」は、産地や樹種を選ぶことができます。もくわくの専用サイトでは、それぞれの材木についての特徴について詳しく知ることができます。
—自分が住んでいる場所に一番近い場所で(もくわくを)買ってもらえるのが一番いいと思っています。輸送の際の環境問題の点からみても、地産地消の方がより良いと考えているので。国産木材、しかも全国各地に拠点がある…となると、それが叶います。食べ物とかも実際にそうですよね。近くで採れた野菜が一番新鮮だし、美味しいし。でも、時々遠くのものをお取り寄せしたくなるじゃないですか。(京都に住んでいるなら)普段は京都のもくわくを使って、たまにはオンラインショップで福岡のもくわくを買ってみよう…みたいな。そういった楽しみ方をしてもらえたらなと思います。—
■京都の”もくわく”
岐阜県長良杉や奈良県吉野杉など、さまざまなラインナップがある中、2023年新たに京都のもくわくが登場しました。
—もくわくに色んなラインナップが出来てから約1年間、京都産木材のもくわくはありませんでした。というのも、木工所選びにかなり慎重になっていたからなんです。もくわくは「材」からではなく「山」から見せたい、というこだわりがあります。八女の山から採れる八女杉であるとか六甲山で採れる六甲杉であるとか、「山で採って、作りました」という流れを見せたくて。山と木材を繋げているのは製材所さんで、もくわくに参画してくださっている事業者さんの多くも製材所さんです。意図して選んだわけではないんですが、結果的にそうなりました。京都の中から選ぶ時も、製材と木工を両方やって貰えるところを探していました。そこで、木と暮らすデザインのサイトをみていたところ、その条件に合うホリモク(※1)さんを見つけた…という経緯です。—
(※1 ホリモク株式会社/木と暮らすデザインパートナー)
そうして出来上がった京都のもくわく。他産地と比べ、一体どのような特徴があるのでしょうか。
—京都のもくわくは、とにかくヒノキが綺麗です。寺社やお屋敷の建築のために植林・育林され、枝打ちを繰り替えして丁寧に丁寧に育てられた、京都市内産のヒノキは、節などがほとんど見当たりません。美しい日本家屋に合う、白くて細やかな肌質です。もくわくには六甲山のヒノキで作られているものもあるんですけど、これは建築の材を採るために植えられた木ではないんです。土砂崩れを防ぐために植えられた木なので間伐とか枝打ちとかもされておらず、とても節が多いのですが、パイン材みたいな見た目で可愛らしい印象です。自然派のかわいい六甲ひのきに対して、京都ひのきは、美しい箱入り娘といった感じでしょうか。—
■山と木材を繋ぐ製材所、木工所との繋がり
木製品を作るためには多くの工程がある分、製材所や木工所との繋がりが大切であると語られました。
—最初に繋がったのは、岐阜の木工所さんでした。そこと繋がっている製材所さんがあったので、両方一緒にアプローチが出来たという感じです。最初に京都の木工所さんで試作品を作ってもらった時、価格がすごく高く「商品化は無理だな」と諦めていたんです。でも、構想はずっと私の頭の中にあったので、なんとかして安く出来ないかと考えた時に、やっぱり山に近い人に頼むのが一番安くなるんじゃないかと思い至りました。そんな時、(木工とは)全然違う料理のイベントで鰹節削り器を自作する方と出会って、その方が岐阜県の原木市場の人だったんです。その方と話をしたら、「岐阜だったら色々考えてくれる所を知っているよ」ということで、紹介してもらったのが岐阜の木工所さん(ツバキラボ)でした。そこで、もう一度試作品を作成しました。まあ、結果的に(最初の木工所さんと比べて)そこまで安くはならなかったんですけどね(笑)—
■「sumao すまいの雑貨店」が考える、京都市内産木材普及のアイデア
—京都は木製品に対して補助金を出してくれることがありがたいですよね。他にないです、なかなか。他県だと住宅の場合のみの適応だったりするんですけど、木製品を導入する際に使えなかったりするので、恵まれているなと思います。もっと皆さんに知られたらいいなと思います。藤井大丸のマルシェ(※2)みたいな、いろんな人にみてもらえるイベントとかがあると盛り上がりますよね。—
(※2 KYOTO WOOD EXHIBITION 2022 マルシェ)
■「sumao すまいの雑貨店」が考える、木と暮らす利点とは
—木はものとしての安心感があります。安らぐとか、ホッとするとか。私達と同じ生き物、自然のものとしての居心地の良さが何かあります。空気を綺麗にしてくれる作用とか雰囲気とか、そういうことではあると思うんですけど、それが一番大きな違いですよね。『楽しく暮らす』の中に必要な要素だと思います。何よりもくわくは、マンション暮らしの人に一番使って欲しいという気持ちがあります。木造住宅で暮らす人は、それだけで木に囲まれて生活が出来ていると思うんですけど、マンションだとそれが叶わないので、もくわくが一つあるだけでも雰囲気や空気が変わると思います。—
■「木と暮らすデザイン」と取り組みたいこと
—植林イベントがしたいですね。京都市内産木材のもくわくを買ってくれた方と植林するイベントが出来たらなと思っています。木と暮らすデザインツアー(※3)の際に訪問したあしださん(※4)さんが「植林イベントが出来ます」とおっしゃっているのを聞いて、「是非やりたい!」と思いました—
(※3 木と暮らすLAB.03「プロダクト販売・開発事業者とまわる京北」/パートナー向けイベント)(※4 株式会社あしだ/木と暮らすデザインパートナー)
地球や人に優しくおおらかに楽しく暮らす生活雑貨を紹介、開発を続ける「sumao すまいの雑貨店」。みなさんも是非一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。
もっと詳しく「もくわく」について知りたい!という方はホームページなどもご覧ください。
sumao すまいの雑貨店 https://sumao.info
もくわく https://mokuwaku.jp