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コラム

木と暮らしvol.3 ~山田木工所さんにお伺いしました~

2021年9月28日

木と暮らすデザインの現場を訪ねる「木と暮らし」

今回は、南区で建具をはじめ様々な木製品を制作する山田木工所を訪ね、代表取締役社長 山田正志さんからお話を伺いました。

「木を通して、幸せづくり」

事務所に入ってすぐに目についたのが、組み木細工が施された本棚。創業以来伝えられてきた建具の製造技術の高さが伺えます。今では3D加工機やレーザー加工機、UVプリンターなど最新鋭の機材も駆使しながら、様々なニーズに応えるモノづくりをされています。

経営理念は「木を通して、幸せづくり」。京都市内産木材「みやこ杣木」を積極的に利用した家具づくりのほか、車いすやベッドで寝たまま絵やタブレットを見ることができるテーブルの製作にも取り組まれています。また、障害者や高齢者の働きの場、高校や児童養護施設の実習の受入など、モノづくりを通してみんなが幸せに生きていける社会づくりに積極的に貢献されています。

こだわりのモノづくり

私の目の前でアクセサリーのチャームがひとつひとつ丁寧に磨かれています。

「木は自然乾燥がいい。だから良いものを作るには時間がかかるんです」。製品に合った木を仕入れて、種類によっては半年から1年はかかる木の乾燥。手間暇かけた分だけ強く色つやの良いものができる。しかし、今は納期が短いものが多い・・。最新鋭の加工機を使いながらも最後は職人の手作業でひとつずつ丁寧に仕上げられていくモノづくり。お店では値段の安さに目が行きがちですが、何を使ってどう作られたのかにも目を向ける大切さを改めて感じました。

挑戦を続ける

「これは和ろうそくを作る型です。今では他に扱えるとこはほとんどありません。」作業場には修理中の歴史あるお寺の門もあり、京都の伝統や文化を支える役割も担っておられます。

一方で、端材から抽出したアロマづくりや手に優しく収まるコップ、優雅な曲線美の一輪挿しなど建具や家具づくりで培われた高い技術力を生かし、新たな木製品も次々と生み出されています。驚いたのは木製の「ネイルチップ」。きれいな蒔絵が施されて独特の気品と輝きを放つ特別な日にふさわしい逸品です。

 

ただ、最近はエビデンスが求められる時代。木やその香りが体に良いと経験的に分かっていても、それを科学的に証明していくのが課題とのこと。

新たな挑戦を続ける山田さん、地域の森や、使う人に思いをはせた優しさにあふれるモノづくりがとても印象的でした。

木を植えてから製品になるまでの50年以上の時間と手間に思いをはせたとき、私たちが毎日何気なく接している木製品への見方が少し変わるかもしれません。

山田木工所 https://yamadamokkou.com/