“暮らしと森林”
日本最古の正史と言われる「日本書紀」には、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、「スギとクスノキは船に、ヒノキは宮殿に、マキは棺桶に用いるが良い」と言い、その子のイソタケルらが樹種を蒔いて歩いたとの記述があります。日本人は太古の昔から木の特性を知り、適材適所に使い分け、森と共に暮らしてきたことが伺えます。
京都市は市域面積の約74%が森林です。
海に面しない京都は、豊かな森が生み出す木や水や空気が、人々の暮らしや文化を育んできた日本を代表する「木の文化都市」です。
寺社や京町家などの木造建築物、祇園祭などの祭礼、伝統工芸や伝統的な文化芸術、家具や日用品、京の食文化・・・暮らしの隅々に木や森の恵みが息づいています。
“森林の危機”
戦後の復興期、高度経済成長期を経て、大規模に植えられた森林が今利用する時期を迎えています。
しかし、この60年の間に生活様式も劇的に変化し、ガスや電気の普及や、他の素材や安価な外国産木材(製品)への転換などにより、国内の森林が使われなくなってしまいました。
その結果、森林の担い手は大幅に減少し、森林は放置や荒廃が進み、土砂災害の発生などの危機に直面しています。
私たちはより便利で快適な暮らしを手に入れました。
一方で、急速に環境を破壊し、大気汚染や地球温暖化、激甚化する自然災害の頻発により、「生き続けられるか」という現実を目の前に、日々の暮らし方や身近にある資源を見直すべき時が来ています。
“森は日本の未来を拓く”
日本は資源が少ない国と言われていますが、国土の約3分の2は森林です。
この身近な資源が今「使いどき」となっています。
でも今さら薪で生活するわけにも・・と思われるかもしれません。実は木の使い方も時代とともに進歩しています。
木は木材としてだけではなく、木を燃料とした発電、木の繊維を使ったプラスチックに代わる素材も開発されています。
先人たちが後世を思い植林して受け継いできた森林は、私たちの貴重な財産です。
地球環境の危機が叫ばれる中、私たちの身近な資源である森林を、「伐って使って植えて育てる」持続可能な形で利用していくことが、私たちが「生き続けられる」ことにつながるのではないでしょうか。
“「木材利用促進月間」に合わせて”
今月は、身の回りのものを木に変える、暮らしに木を取り入れるなど木の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする行動「ウッド・チェンジ」を合言葉に全国でイベント等が行われます。
京都では、中高層木造建築物の発展に向けた国際会議「WOODRISE2021KYOTO」が10月15日から京都国際会館で開催されます。
(公式HP)http://www.woodrise2021.jp/
「木と暮らすデザインK Y O T O」も実はウッド・チェンジの取り組みです。
いろんな事業者の方にお会いする中で「こんなことにもできるんですか!」とビックリすることも多く、木や森林の無限の可能性を感じます。確実に面白いです!
皆さんも身近なところから木に触れてみませんか?
例えば・・
・木製を選ぶ、国産材かどうかも気にしてみる。
(京都市内産の木は「みやこ杣木」です)
・お出かけするなら山の方に。紅葉やバーベキューの季節ですよ!
(京北森林公園、山村都市交流の森をよろしくお願いします)
・家を建てるなら木造で!
(木の香りに包まれる生活、良いですよ)
この機会にぜひ、木や森に関心を持ってみてください。
木材利用の促進について(林野庁HP)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/kidukai/mokuzairiyousokusin.html